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チャイナリスクを信じるのは日本人だけ? [中国]

チャイナリスクを信じるのは日本人だけ?世界のリーダーから中国とは

2015年12月20日 6時0分

ざっくり言うと

  • 先進国を超えるテクノロジーを持ちはじめた中国について取り上げている
  • 日本人は中国を敵視するのではなく、リスペクトしながら警戒すべきと筆者
  • 潜在的脅威の実態を冷静に深く分析することが必要だとも述べている

中国のテクノロジーを侮るな! 世界のリーダーたちは誰も″チャイナリスク″を口にしない

Photo by thinkstock

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■先進国の先を行き始めた側面も

「中国のテクノロジーはとてもつもなく進化している」

これはシンガポールで世界のテクノロジーを俯瞰している知の巨人2人に囲まれたランチで聞いた話だ。

その2人とはリー・クワンユーの右腕としてシンガポールの国家開発戦略を担った初代EDB長官フィリップ・ヨーさんと、世界で初めてゲノムサイエンスを使った創薬企業を創業しビリオネアとなったウィリアム・ハゼルタイン博士である。

世界中から最高の科学者を集めてシンガポールを基礎研究の世界的な拠点にすべくバイオポリスやフュージョンポリスを立ち上げ、シンガポールの科学技術政策を今でもけん引しているフィリップさんは、中国の最新テクノロジーに精通している。ハゼルタイン博士も中国の清華大学に巨大な拠点を持っているので、バイオサイエンス分野を中心に中国の最新の基礎研究事情を把握している。

物事は単純に白か黒かでは言い表せないものだが、中国のような巨大国家に関しては特にそうだと思う。先進国のIP(知的所有権)を違法コピーしまくっている側面や、素行のよろしくない観光客を目にしているからか、日本には「中国なんて技術や人の洗練度はまだまだ発展途上国」と思ってしまっている人が多いのではないか。

確かに中国は新興国の色がまだまだ抜けきらないが、実は、ある意味で、先進国の先を行き始めた側面も持っている。その一つが「先端技術」だ。

知の巨人たちが認識を一にしたのも「劇的に進化する中国のテクノロジー」だった。バイオから素材、IT、宇宙まで現段階での中国の最新テクノロジーを把握し、指導する立場にある彼らの結論は、冒頭の台詞、「中国の技術はとてつもなく進化しつつある」ということなのだ。

「これから中国人科学者のノーベル賞ラッシュが始まることも十分に考えられる。なにせ世界一のスーパーコンピューターを持っているし、アメリカでPhDを取得した若い科学者の量と厚みが増している。いま、その量が質に転化し始めたところだ」

そうした前提から、アメリカやシンガポールと中国との「技術交流」のコンタクトは、以前にも増して密接になっているという。

■「中国バブル崩壊」などありえない

日本人は物事を常に「白」か「黒」か、「敵」か「味方」かの二項対立で捉えようとするが、世界はそんなに単純なものではない。

中国は巨大なだけに複雑な存在なのだ。新興国の側面と先進国の側面が共存する。そして先進国の部分は先進国より進歩しはじめ、全体を徐々にレベルアップさせている。アメリカにとっての中国は、「敵」とみなさなければならない対象であると同時に、「味方」にもなっておきたい存在なのだ。

かくいうわれわれ日本人も、かつては「エコノミックアニマル」と揶揄され、海外旅行者のマナーも今からは信じられないくらい悪く、欧米の技術やエンターテインメントをコピーしまくっていた。そして、コピーを改良し、それを進化させ、技術立国となってきたのだ。

中国はいま、かつての日本と同じことを、10倍のスケールでやっている。

「日本との違いは、アメリカの名門大卒のエンジニア系博士号取得者の量だ。アメリカの名門大学で博士号を取り、最高の研究機関で修業した莫大な数の中国人が、続々と本国に戻っている。かつての日本にはなかったスケール感で。そしていま、量が質に転化しつつある」

アメリカでもASEANでも、確かに中国は国家としては脅威であり、中国企業や中国人観光客のマナーは嫌悪の対象になっている。しかし、日本のように「中国が崩壊する」「中国経済が長期デフレに陥る」と本気で信じているリーダーもインテリも、ほとんどいない。

私は、11月のマニラで開催されたAPECの場で、国家首脳やグローバル企業トップら、多くの政治経済のリーダーたちと交流したが、誰一人として「中国バブル崩壊」などとは口にしていなかった。

■1年以内に米国を抜く可能性も

私が応援している、スパコンの省電力化・小型化を研究され続きて来た日本人技術者兼経営者・斉藤元章さんが、2年連続で世界で最も省電力性能に優れたスパコンの開発に成功されたとの連絡を受けた時の話を思い出す。

最新のデータによる国別ランキング(2015年11月16日発表「TOP500」)を見ると、各国のスパコン保有台数は次のようになっている。

1位:アメリカ=200台
2位:中国=109台
3位:日本=36台

斉藤さんはこう話していた。

「中国の躍進は凄まじい。絶対性能のTOP500では、前回3位だった中国が日本を抜き去って2位になりました。そればかりか、保有台数でも半年前の37台からいきなり109台にジャンプアップしました。これは、米国の200台に対しても相当な数ですし、1年以内に米国を抜く可能性すらあります」

すべての研究開発のエンジンとなるスパコンの数は、現在の国力を反映するといっても過言ではない。そして、次世代スパコンの性能が国力そのものである事実を認識し、そこに一番力を入れているのが中国であろう。このままいけば、人工知能が人類の知性の総和を超える「シンギュラリティ」に対して最も準備できているのが中国だともいえる。

これはジョークでもなんでもない。秦の始皇帝がなしえなかった不老不死はもちろん、軍事も食糧もエネルギーも宇宙開発も全て、最も高性能のスパコンを持つ国が差配することになるかもしれないのだ。

アメリカ、ソ連に続いて、有人宇宙飛行に成功したのが中国であることを忘れてはいけない。マット・デイモンが主演した大ヒット作で、日本では2月に公開されるハリウッド映画『オデッセイ』の中でも、NASAの失敗を救援するのは中国の宇宙開発技術であった。

中国を馬鹿にしたり、やみくもに敵視したりする前に、われわれは、莫大な数の優秀な科学者が国家による巨大投資のもと、確実に量を質に転化し、先進国を超えるテクノロジーを持ちはじめた中国を、リスペクトしながら警戒すべきだろう。

他国を馬鹿にしたり敵視したりすることが「愛国心」ではない。国を本気で想うのなら、まずは潜在的脅威の実態を冷静に深く分析することだ。そうした上で、国益にかなう建設的な付き合い方を考えるべきだと思う。

『シンガポール発 最新事情から説く アジア・シフトのすすめ』
田村耕太郎著
(PHPビジネス新書、983円)

日本とアジアの長所と短所を冷静に把握したうえで、アジアの熱風を感じつつ、時代に合った形でアジアの活力を取り入れる――そのための最高の素材として活用できる1冊。

Record China

ざっくり言うと

  • 英FT紙が16日、アジア編集長のピリング氏による記事を掲載した
  • 14年前に多くの日本人が、中国は内部矛盾で崩壊すると語っていたと指摘
  • 「彼らは中国共産党を甘く見過ぎていた」と中国の存在感を強調した

中国経済が崩壊すると予言した日本人は、中国を甘く見過ぎた―英紙

16日、英紙フィナンシャル・タイムズは、同紙のアジア編集長を務めるデビッド・ピリング氏による、「中国経済が崩壊すると予言した日本人は、中国を甘く見過ぎた」とする記事を掲載した。写真は天安門。

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2015年12月16日、英紙フィナンシャル・タイムズは、同紙のアジア編集長を務めるデビッド・ピリング氏による、「中国経済が崩壊すると予言した日本人は、中国を甘く見過ぎた」とする記事を掲載した。18日付で環球時報が伝えた。

私(ピリング氏)が14年前に初めてアジアに来た時、日本の経済規模は中国の3倍を誇っており、多くの日本人が「中国の体制は内部矛盾により確実に崩壊する」と予言していた。彼らは「中国経済は国が管理しているため、不合理な資本分配や浪費性の投資への依存が起きやすい」「中国経済は驚くべき成長を遂げたものの、水や空気を汚染してきた」などと分析した。これらは正しいが、「内在するストレスが中国社会の不安定化を招き、体制が崩壊する」という結論は“片思い”に過ぎなかった。

彼らは中国共産党を甘く見過ぎていた。中国は崩壊しないどころか、ある方面ではますますその力を強めている。中国の経済規模は、今や日本の2倍以上。購買力平価から見ると、米国をも凌駕する。中国の台頭は、世界の重心を西側から東側へと移した。経済や政治において大きな変化をもたらし、米国の外交官らは日本や台湾などに無条件の安全保障を提供することについて、その実現性を考慮しなければならなくなった。英国は米国の反対を顧みずに、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加を決めた。

中国の発展にはリスクが付きまとうが、それでも祝福しなければならない。戦後の日本は世界に対して、繁栄と現代化は白人の専売特許でないことを証明したが、中国は世界に対して日本の成功をより大規模に実践できると示して見せた。実際は、中国はここまでうまくやらずとも世界を変えることができた。中国は人口が多いため、国民の生活水準が米国の半分に達しさえすれば、米国の2倍の経済体になるのだ。イェール大学のポール・ケネディ教授は自身の著書「大国の興亡」の中で、「軍事力と外交力は後から付いてくるものだ」としている。(翻訳・編集/北田)

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