政府がついに合法と認める

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 今月18日、内閣に「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する質問主意書」という文書を提出された。質問主意書とは、議員が国政全般に対して内閣の見解をただすために提出する文書で、この提出を受けた議長(衆議院、参議院)は内閣に転送し、内閣は原則7日以内に答弁をしなくてはいけない。そしてその答弁が公開された。

 質問主意書を提出したのは、民進党の緒方林太郎議員。質問の内容はズバリ、「パチンコは賭博罪ではないのか?」。

 勿論、法律に則った議員の質問なので、一般人が理解するには難解な文章になっている。今回、緒方議員が提出した質問は7つ。特にその6番目と7番目の質問に対して、業界関係者は大きく注目していた。

 その質問とは、

六:ぱちんこ屋で景品を得た後、その景品を金銭に交換している現実を政府として把握しているか。
七:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定されるぱちんこ屋は、刑法第二編第二十三章における罪の違法性を阻却する必要はないのか。

 やはり難解。なので本稿では、分かりやすく解説する。

◆緒方議員の質問の見どころ

 まず6番目の質問。要は、パチンコをしたお客さんが、換金所で現金と交換していることを政府は把握しているのか、というものだ。

 パチンコ店では、お客さんの出玉に対して景品を提供している。その景品のうち、「特殊景品」なるものがあり、その「特殊景品」はパチンコ店の外にある換金所で現金に変えることが出来るのだ。ちなみに、パチンコ店と交換所には人的、経営的な関連性はないことが大前提である。

 政府の答えはこうだ。

「客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している」

 が、ここまでは過去の警察庁長官クラスでも定例会見等で発言している。今回の緒方議員の質問の面白いところは、この「換金」を認めさせたうえで、「刑法第二編第二十三章」ではないのかと質問している。

「刑法第二編第二十三章」とは、ズバリ「賭博罪」。要は「パチンコは賭博罪ではないのか?」となるのだ。

◆パチンコ店は、風営法を守っている限りは賭博ではない

 再び、これに対する政府の答え。

「ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。」

 噛み砕いて説明すると、「パチンコ店は、風営法を守っている限りは賭博ではない」と言っている。

 今までパチンコ業界側は「ぱちんこは娯楽であり、ギャンブルではない」と何十年にも渡り主張してきた。しかし反面、「換金システム」の問題が、「パチンコ=ギャンブル」という認識を世間に植え続けた。

 過去に警察庁長官が、客が景品交換所で現金に交換しているのを「承知している」と言った後、「それはギャンブルではないのか?」と突っ込んだ記者に対して「直(ただ)ちに違法とは言えない」という発言をしたことがある。

「直ちに違法ではない」が、その言葉の裏には「いつか違法と言える日がくるかも知れない」というニュアンスがあった。

 しかし、今回の政府の答弁は違う。「違法ではない」と言い切った。これは、ぱちんこ業界とアンチパチンコとの長年の論争に終止符を打つ、画期的な答弁である。

 だからといって、パチンコが健全な「娯楽」であるのか、という問題は残る。

 カジノ議論が進めば進むほど、パチンコ業界が抱える「依存症」問題がピックアップされるであろうし、パチンコ業界としても、この問題に関しては真摯に向かい合わなくてはいけないのだから。

<文・安達 夕 写真:imagine>