[イメージ]日本では子どもの数の減少が1975年から続いています。将来はどのくらいになると見込まれているのでしょう(写真:アフロ)

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 人口減少が始まった日本の一番の問題は少子高齢化です。出生率が現状のまま進むと、日本の子どもたちの人口はどのように推移するのでしょうか。4月発表になった国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の将来推計人口(2017年集計)」などから探ります。

1975年から総人口に占める子どもの割合が低下

 総務省統計局2017年4月1日現在(概算値)の人口推計によると、子どもの数(15歳未満人口)は約1571万人です。これは前年より約34万人少ない見込みで、1982(昭和57)年から36年連続の減少になります。また総人口に占める子どもの割合は前年比0.2ポイント下回る12.4%で、こちらは1975(同50)年から43年連続の低下となる見込みです。この日本の子どもの割合の値は、世界で最も低い水準です。

 子どもの数は第1次ベビーブーム期(同22~24年)の後の1955(同30)年には3000万人を超えるなど、当時は総人口の35%以上を占めていました。その後、出生数の減少に伴い、1965(同40)年には、子どもの割合は総人口の約4分の1まで低下。第2次ベビーブーム期(同46~49年)の出生児数の増加でわずかな上昇もありましたが、1980年に子どもの数(2751万人)が減少に転じ、1997(平成9)年には65 歳以上の高齢者人口割合(15.7 %)を下回り、15.3 %まで下がるなど、少子高齢化が進行しています。

現在の3分の1……100年後は520万人と推計

 では、将来の日本の子どもの数と割合はどのように推移するとみているのでしょうか。2017年4月発表の国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」では、長期の合計特殊出生率(出生率)1.44(中位仮定)、長期の平均寿命を男性84.95歳、女性91.35歳(いずれも中位仮定)とし、推計しています。

 その公表値では、およそ30年後の2040年、子どもの数は現在より約400万人少ない1194万人、総人口における割合は10.8%にまで減るとみています。さらに2060年は1000万人を割り、951万人(総人口に占める割合10.2%)に、2065年は900万人も切り、現在の6割以下となる898万人(同10.2%)にまで減ると見込んでいます。

 また長期参考推計として2066年以降の予測も紹介し、およそ100年後の2115年の子どもの数は520万人(同10.3%)と、現在の3分の1になる数値を試算しています。

出生率が低い場合、約50年後で684万人に

 国立社会保障・人口問題研究所は、出生率が低い見積もりの場合(低位仮定)と高い見積もりの場合(高位仮定)それぞれについて、数値を算出しています。低位仮定(出生率1.25)のときは、2040年に1027万人で総人口を占める割合(9.5%)も10%を切り、2065年には684万人(総人口に占める割合8.3%)まで一気に減少する予想になっています。一方、高位仮定(出生率1.65)では、2040年が1372万人(総人口に占める割合12.1%)、2065年は1159万人(同12.2%)を見込み、それぞれ前提となる出生率の仮定によって大きく結果が異なっています。

 ただ、いずれの場合も、少子化対策が喫緊の課題であることを示す数値ということに変わりはなく、国全体で出生率改善につなげる取り組みが迫られています。