見つかった「鉱区図」の謄本(一部画像処理しています)

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 韓国が不法占拠を続ける竹島(島根県隠岐の島町)をめぐり、戦前に政府が周辺でリン鉱石の試掘権を設定していたことを示す公文書が、県竹島資料室の調査で見つかったことが24日、分かった。

 竹島でのリン鉱石採掘については聞き取り調査などで知られていたが、それを裏付ける資料が確認されたのは初めて。関係者は「日本が当時、竹島を実効支配していた有力な根拠の一つ」と評価。日本が求めている国際司法裁判所での領有権問題の審理が実現した場合、有力な証拠になるとみられる。

 見つかった資料は、竹島周辺でのリン鉱石の試掘を認めた「試掘原簿」と、試掘の申請者が出願の際に添付した「鉱区図」。

 試掘原簿には、昭和14(1939)年6月、鳥取県に住む申請者2人に対し、竹島の島内と周辺海面の8万3800坪(27万平方メートル)でリン鉱石試掘権を政府が設定・登録したこと、戦後には別の人物に試掘権が移り、24年2月に期間満了を迎えて登録が抹消されたことなどが記されている。

 また、鉱区図によると、9年6月の出願段階では20万坪(66万平方メートル)分の試掘が申請されたが、最終的には13年8月、8万3800坪(27万平方メートル)分に申請を変更して、試掘権が認められた。

 これまでの調査で、当時、竹島周辺で盛んだったアシカ猟の従事者が猟に支障が出ると反対していたことが分かっている。今回見つかった資料からは、政府がアシカ猟に配慮して海岸線付近などアシカの生息区域を除外し、試掘権を認めた状況がみてとれる。

 県竹島資料室は「政府による鉱業権の設定は、まさに国家主権の行使。当時の日本が一帯を実効支配していた状況が確認できた意義は大きい」と指摘。竹島問題に詳しい下條正男・拓殖大国際学部教授(日本史)も「韓国が竹島を不法占拠する1952(昭和27)年以前に、韓国側が竹島に国家主権を行使した証拠は一切見つかっていない。今回の資料は、竹島問題が国際司法裁判所に付託された場合、日本が当時、竹島を占有していた実態を示す有力な根拠となる」と話している。