朝日新聞「社外秘」資料入手 「3年で500億円減収」の衝撃
日本の“クォリティ・ペーパー”といわれてきた朝日新聞が、相次いだ不祥事などによる部数減に苦しんでいる。今回、本誌はその苦しい台所事情の一端を示す社外秘文書を独自に入手した。そこには朝日新聞のみならず、まさに今進んでいるメディア大激変の苛烈な現実が示されていた。
「会社が待遇カットを迫ってくることは覚悟していましたが、ここまで経営状態が悪いと知らされると、さすがに言葉を失いました。これはもう“脅し”ですよ」
40代の現役社員は、管理職から「ある文書」を示されたときの衝撃をこう振り返る。
「ある文書」とは今夏、朝日新聞の各部署や支局で管理職から社員に配布された〈経営説明会の要点(全社員に知っていただきたいこと)〉と題された1枚のペーパーである。
欄外には〈職場会議(部会・室会・センター会など)説明用資料〉と書かれており、〈社外秘〉の文字も刻まれている。
文書は冒頭から朝日新聞の今期の「売上高の急落」を強調して始まる。
〈4~6月期は前年同期比▼36億円(月平均▼12億円)の落ち込み〉
そう書いた上で、この数字が意味するところをわざわざ下線付きで次のように書き添えている。
〈※社員1人あたり毎月▼20万円超に相当……営業日ごとに▼1万円〉
社員に対し「あなたの責任でもある」と突きつけているようにも読める。
続いて、2013年度に3135億円あった売上高が2015年度には2748億円へと387億円(12%)落ち込んだことに言及している。3000億円を割り込むのは1985年度以来30年ぶりという事態だが、ここまでは有価証券報告書などの公表資料でも確認できる数字だ。
しかし、その文書で続けて記された文言にはさらに驚かされる。今期は売上高の落ち込み幅が広がり、〈13年度→16年度では、▼500億円超のおそれ〉があるとしているのだ。
しかも、その落ち込み幅が、〈年間の給与・賞与総額に相当〉と意義づけをするだけでなく、〈※社員1人あたり▼1200万円程度に相当〉と下線付きで強調する念の入れようだった。
この減収には、朝日新聞の部数の急速な減少が背景にあると考えられる。2012年度には762万部あった朝刊の発行部数が、いまや670万部(2015年度)と3年間であっという間に92万部も減ってしまったのだ。
「2014年の東京電力福島第一原発事故をめぐる吉田調書報道で事実誤認を指摘され、さらに同年、慰安婦報道でも訂正に追い込まれた。信頼に傷がついて部数が減り、その部数減が報じられることで負のイメージが増幅する。こうして“クォリティ・ペーパー”だからこその収入源だった高級ブランド商品や高級車の広告の出稿までもが減っていく悪循環に陥っているように見えます」(現役社員)
◆〈運転資金が回らなくなる〉
社外秘文書の記述は売上高の急落に止まらない。次に、〈損益の急激な悪化〉という項目へと文書は続く。
2014、2015年度の朝日新聞社は経費の大幅削減という経営努力によって黒字を確保した。しかも、今年5月に公表された決算短信によれば、営業利益は2014年度の38億円から、2015年度は78億円と増益しているのだ。
しかし、文書では、〈人件費以外の固定費を大幅に削減し続けることは困難〉とし、〈16年度は、現状のままでは赤字見通し〉と、“赤字転落”の危機にあることを明らかにしたのである。
労働集約型の企業である新聞社にとって人件費は「最大のコストセンター」(業界関係者)だという。しかし、人件費にメスを入れれば現場からの反発は避けられない。それを恐れてか、文書は危機が一過性ではないことを繰り返し説明している。
〈17年度から給与改革・定年延長ができないと、⇒⇒恒常的赤字に落ち込む(16年度だけでは済まない)〉
では、どうなるというのか。文書はこう続く。
〈「繰延税金資産の取り崩し」+「新聞業の減損」で赤字数百億~1千億円規模〉
つまり業績見通しの悪化で会計上の費用も積み増しを迫られることになり、赤字額が大きく膨らむという説明だ。これにより、〈信用失い、取引条件悪化〉〈キャッシュ不足で運転資金が回らなくなる〉という文言で文書は締めくくられている。
“最悪のシナリオ”をこれでもかといわんばかりに丁寧に解説しているのだ。
一読すれば、これが「今期は経営が苦しく、さらなる待遇カットは避けられない」という窮状を社員に訴えかけるために作成されたものだとわかる。
つまりは、〈17年度から給与改定・定年延長〉に対する社員の“理解”を強いているようなのだ。
社外秘文書を配布したことや、今後の人件費削減案などについて朝日新聞に問うと、「既存事業の足固めと成長事業の創出を柱とした中期経営計画2020を今年1月に発表し、ジャーナリズムの担い手としての責務を果たすべく、達成に向けて取り組んでいます。社員向けに経営状況を説明する機会もありますが、詳細については回答を控えさせていただきます」(広報部)としている。
※週刊ポスト2016年10月28日号
身売り話も飛び交う凋落フジテレビの限界説
2016年10月14日 17時00分 週刊実話
フジテレビが、緊急事態に突入だ。視聴率下落が下げ止まらず、2015年には開局以来始めての営業赤字に陥ったのだ。
「9月22日に放送された男子バスケットボール『Bリーグ』開幕戦が視聴率5.3%、25日の総合格闘技『RIZIN』も視聴率8.5%とともに大惨敗。今や何をやってもダメ。テレビ界では『フジがやっていないことをやれ』が合言葉になっているんです」(テレビ局関係者)
そんなフジにとって驚愕の事実が判明。なんとゴールデン&プライム帯において、ついにテレビ東京に視聴率で負けてしまったのだ。
「テレ東が特番を仕掛けたわけでもないのに、普通の平場週でフジがあっさりと負けてしまったんです。フジにとって開局以来初めてのこと」(制作関係者)
テレビ界で話題になっているのが、'16年第38週(9月19日~25日)の視聴率だ。
「まずゴールデン(19時~22時・ビデオリサーチ調べ)だが、1位は日テレの12.6%、2位はテレ朝の11.3%、3位はTBSの9.9%、4位がテレ東の7.5%、フジは6.8%と最下位。プライム(19時~23時)も、4位テレ東7.1%に対し、5位のフジは6.9%。テレ東はキー局ではない。在京局ということで比較対象になっているが、本来は地方のローカル局にすぎないんです。その制作費も人件費もフジの3分の1。それでもフジに勝ってしまったんです」(テレ東関係者)
フジの惨敗は、すでに昨年度、テレビ界を驚愕させた当期純利益額で視聴率の惨敗ぶりを予言していた。
「売り上げだけを見てみると、フジの2897億円に対しテレ東は1073億円と大差を付けられていたが、当期純利益ではフジの33億円に対し、テレ東は59億円と圧勝していたんです。'16年度も似たような結果になるでしょう」(大手広告代理店関係者)
いまやテレビ界のお荷物になってしまったフジテレビ。身売り説が再燃するのも時間の問題だ。
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