「娘にまた会えた気が…」賞撤回も遺族公開

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 笑顔で踊る少女を捉えた一枚の写真。写っているのは、いじめの被害を訴え、自殺した青森県の少女だ。この写真は、青森県・黒石市の写真のコンテストに応募され、一度は、「市長賞」が内定していたが、その後撤回されていた。何があったのだろうか。

■衣装を身にまとい、笑顔で踊りを披露する青森市の葛西りまさん(13)。葛西さんは、この写真が撮影された日から10日後の8月25日、電車にはねられ死亡した。自殺とみられている。

■葛西さんが亡くなる直前、スマートフォンに残していた文章には、“いじめをやめて欲しい”という悲痛な訴えがつづられていた。そこにはいじめていたとされる生徒の実名も書かれていた。

■笑顔で踊る葛西さんが写った写真は8月15日、青森県黒石市で行われた祭り「黒石よされ」で撮影されたものだった。

■「黒石よされ」は、「阿波踊り」などと並び、日本三大流し踊りのひとつとされる祭りだという。祭りの期間中に撮影された写真のコンテストも行われ、最高賞の黒石市長賞に選ばれると、賞状や賞金が授与される。

■黒石観光協会によると、青森市の男性がこの写真をコンテストに応募したところ、「市長賞にふさわしい」として審査員が絶賛。その後、踊りの団体に確認すると写真の人物が葛西さんであるとわかったという。

■そこで、実行委員会は遺族の了承を得た上で、葛西さんが写っている写真に市長賞を贈ると内定した。

■葛西りまさんの父親「娘の四十九日に、内定したというお話を聞きまして。この写真は家族みんなで見たんですけど、娘の笑顔にみんな涙が止まりませんでした。娘にまた会えた気がしました」「私はまだ笑顔でこうしているよ、だから私たちにもみんな笑顔でいてねというメッセージにも受け取れました」

■しかしその後、実行委員会の間で再協議が行われ内定が取り消されたという。「亡くなった人が写っている写真はコンテストの対象作品にするべきではない」というのが理由だという。

■葛西さんの遺族は、一度でも写真が選ばれたことには感謝しているとしながらも「話によると、(受賞に)ふさわしくないということで取り消されたわけですけども、ふさわしくないというのが私たちはどうしても納得がいかなくて」「最高の笑顔で好きな手踊りを好きな仲間と一緒に頑張って踊っていたというのも知ってほしいし、そういう子でも、いじめによって残酷な結果になってしまうという、いじめの恐ろしさも知って欲しくて、公表することにしました」と話す。

■遺族は、“いじめをなくしたい”という葛西さんの思いを伝えるために、写真と名前の公表に踏み切ったという。写真は受賞していれば、11月に行われる黒石りんごまつりで展示される予定だった。

詳しくは動画で。