インド太平洋戦略の「知的所有権」は、アメリカにくれてやれ! [アメリカ 米国]
RPE Journal==============================================
ロシア政治経済ジャーナル No.1647
2017/11/17
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トランプさんやティラーソンさんは、安倍総理が考案した
「インド太平洋戦略」という言葉が大好きなようです。
★インド太平洋戦略の「知的所有権」は、アメリカにくれてやれ!
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
インド太平洋戦略、さらに進展しました。
<<日米豪印>インド太平洋で結束 中国をけん制
毎日新聞 11/13(月) 23:33配信
【マニラ高本耕太、朝日弘行】マニラ訪問中の安倍晋三首相は13
日、トランプ米大統領、ターンブル豪首相との日米豪首脳会談に臨
んだ。
日米両国は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げ、オースト
ラリア、インド両国との連携を強化する方針。>
日本とアメリカは、オーストラリア、インドを「インド太平洋戦略」
に入れたいのですね。
トランプさんは、インドのモディさんにも会っています。
<また米印首脳会談でモディ氏はトランプ氏に対して「アジアの未
来のため共に歩む」と協調姿勢を示した。>(同上)
ちなみに、この「インド太平洋戦略」、考案したのは安倍さんなの
です。
<インド洋から西太平洋にまたがる広い地域で民主主義や法の支配
に基づく秩序を構築するとのインド太平洋戦略は、もともとは日本
が提唱していた。>(同上)
具体的にいうと、2016年8月、ケニアで開かれたアフリカ開発会議
(TICAD)の基調演説で、
安倍総理は、初めてこの言葉を使った。
ところが、アメリカ側は、「ワオ!センスいいじゃないか?!」と
思ったのでしょう。
トランプさんは、あたかも「俺が考え出した戦略だぞ!」という感
じで、バンバン使いはじめました。
<トランプ氏の5日からのアジア歴訪でも、
トランプ政権のアジア政策の中核的な概念として繰り返し言及し
ている。>(同上)
「繰り返し」使っているのです。
ちなみにティラーソンさんも、使っています。
産経新聞11月12日を見てみましょう。
<安倍首相が昨年8月に提唱したインド太平洋戦略は、河野太郎外
相らが共有を呼びかけていた。
これに米側が応じ始めたのは今年の10月中旬。
ティラーソン米国務長官が講演で、自由で開かれたインド太平洋の
重要性を強調した。
「勝手に使って悪かった」
「いいんだ。どんどん使ってくれ」
今月上旬、ティラーソン氏が借用をわびると、河野氏はこう歓迎し
た。>
ティラーソンさんは元エクソン・モービルのCEOで、スーパービジ
ネスマン。
それで、「知的所有権は日本にあるのに、勝手に使用してごめんな
さい」という意味で詫びた。
河野さんは、実にナイスな反応をしました。
「どんどん使ってくれ!!!」
なぜ、これがナイス?????
▼目指すは、「アメリカ中心」の「対中バランシング同盟」
この前も書きました。
アメリカ、インド、オーストラリアは、「インド太平洋戦略」に同
意しています。
しかし、これらの国々の首脳は、「反中と親中」の間で、ゆらゆら
している。
トランプさんは、「私は、彼が大好きだ!」
「彼は、毛沢東よりも偉大だ!」
などと、習近平を大絶賛しています。
モディさんは、日米といい関係を保っている。
その一方で、インドは2015年、中国、ロシアが主導する「反米
の砦」=「上海協力機構」(SCO)の正式加盟国になった。
オーストラリアのターンブル首相は、「親中」です。
他国がこんな感じなのに、日本だけが反中でガンガン攻めれば、
孤立します。
トランプ、モディ、ターンブル「ちょっと安倍さん、そんなに
マジにならないでよ!」
「俺たちは、中国と金儲けもしたいんですからね!」と。
では、どうするか?
トランプさんに「インド太平洋戦略」を主導してもらえばいい。
トランプが、「インド太平洋戦略、ガンガンいくぜ!」といったら、
安倍さんは、「そうだ、そうだ!」。
トランプが、「やっぱ、北朝鮮問題で習近平の協力がほしいからイン
ド太平洋戦略、お休みね!」
といったら、
安倍さんは、「そうだ!そうだ!」。
これなら、
1、トランプさんは、「インド太平洋戦略」を主導する立場なので、
プライドが満たされる。
2、安倍さんは、戦略を主導していないので、中国の憎悪と反撃を
受けなくてすむ。
というわけで、ティラーソンさんが、勝手に「インド太平洋戦略」
という用語を使ったら、
「いいんだ!ドンドン使ってくれ!」
というのが正解なのです。
▼え~「インド太平洋戦略」に中国を入れる?????
さらに、安倍さんは、とても面白いことをいっています。
毎日新聞11月15日。
<トランプ米大統領と合意した「自由で開かれたインド太平洋戦
略」の推進に関し、14日夜のフィリピンでの記者会見では
「この地域の平和と安定に向け、日本と中国が協力を深化させて
いく必要がある」
と述べ、中国も排除しない考えを示した。>
面白いですね~。
中国にむかって、「対中包囲網に入りませんか?」といっている。
これって、アメリカの金融覇権を脅かすAIIBに、中国が
「アメリカも入りませんか?」
と勧めているようなものです。(実際、勧めています。)
しかし、安倍総理のこういう発言で、中国の怒りは緩和されます。
日本では、「中国に勝つ方法」というと、
「大軍拡を!」
とか、
「核武装を!」
とか「勇ましい」論が好かれます。
しかし、中国の軍事費は、日本の4.6倍。
さらに、相手は核兵器大国です。
こんなもん、まともに戦ったら、勝てるわけがないでしょう?
だから、安倍総理のように、誰とも争わないよう努力しながら、
ゆっくり着実に目的を達成していくのです。
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