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日本の貿易依存度の低さは、2010年度は184か国中179位、2011年度は180か国中175位に過ぎません。TPP加入後は、多様な人生の選択肢を享受できる日本人は、ごくごく少数の非常に恵まれた人々だけになるでしょう。 [TPP 反対]






日本はもっと貿易すべき? とっても低い日本の貿易依存度

2009年12月01日 :グローバルノート 掲載

グローバル化ているか?

 

container「日本は貿易立国なのか、輸出依存型国家なのか?」。トヨタやソニーなど、日本を代表するような大手製造業は大半が輸出型企業であり、また巨額の貿易黒字をたびたび批判されてきたことを考えると日本は輸出型・貿易型国家に見えがちである。


しかしマクロデータで見る限り、日本は「比較的」貿易依存度の低い内需型国家というのが一般的な見方のようである。
それでは、どのくらい日本の貿易依存度が低いかというと、実は「比較的」どころか「超」低いのである。

世界銀行の統計によれば、日本の貿易依存度(貿易額の対GDP比)は2008年で、世界170カ国中、なんと164番目である。G8やOECD諸国の中で日本より貿易依存度が低いのは米国だけである。

それでも、小泉政権時代での円安傾向や経済のグローバル化、中国の発展などで、日本の貿易依存度は近年急速に高まっているのも事実で、1995年には15%程度だった依存度が2008年には31%にまでなっている。しかしそれでも世界164番目である。ちなみに欧州の主要国では英国41%、フランス46%、イタリア48%、日本と同じく製造業の強いドイツにいたっては73%もある。アジアでは中国59%、韓国92%などいずれも日本より高いのである。EU経済圏における域内貿易が多い欧州諸国や、安い人件費を背景として輸出拠点化を進めるアジアの新興国とは一概に比較できないが、それでも産業のグローバル化を進める余地は他の国と比べてまだまだ多そうである。

(引用終り)

 

2010年度現在

『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

                     2013/06/14


From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

(要約して転載します)

日本の貿易依存度の低さは、世界有数です。
戦後、日本の輸出依存度や輸入依存度は、両方ともおおむね10~15%程度です。
この数値は国際的みれば非常に低いもので、たとえば日本の貿易依存度の高さは、2010年度は184か国中179位、2011年度は180か国中175位に過ぎません。
先進国の中では、日本とアメリカが抜きんでて貿易依存度の低い国なのです。
 
原油などの資源は輸入に頼っていますが、全般的にみれば、日本は世界でも有数の自己完結性の高い経済社会を作り上げてきたのです。
これは、近代日本が、さまざまな産業を外国から学び入れ、製品やサービスを国産化し、国民が多種多様な産業を担ってきたことに由来します。
 
TPPに加入すれば、当然ながら貿易依存度は高くなる。
TPP推進派が好んで取り上げる理由に、「自由貿易の推進のため」というものがあります。そして自由貿易をよしとする理論的根拠に、リカードの比較生産費説があります。
各国は、比較優位な製品に生産を特化し、互いに生産物を貿易したほうが、経済的効率は高まるはずだという理論です。
 
これは、机上の議論としては正しいのでしょう。
しかし、現実の世界では各国の産業構造は、少数の産業に偏り、いびつなものとなってしまいます。
 
そしてその結果、各国の生計の成り立つ職業の数は減り、人々の人生の実質的な選択肢の幅は非常に狭くなってしまいます。
 
たとえば、日本の場合、比較優位のある産業とは、製造業の開発部門など、知識集約型のごく一部のものだけでしょう。日本国内に残り、うまくやっていける産業の種類は、かなり少なくなると思います。
 
理論のうえでは、人間は、国境を超えて自由に移動し、どこででも、いきいきと暮らすことのできる存在だと想定されます。
つまりグローバル化推進論者は、「TPP以後のこれからの日本人は、日本国内にこだわらず、自分の就きたい職業を求めて海外に積極的に出ていくべきだ!」とでもいうんでしょう。
でも、これ、まったく現実の人間をみていませんよね。まさに机上の空論です。
 
現実世界では、人間は、特定の文化を担った存在です。
言葉の面からも、慣習や制度の面からも、特定の文化の中にいて初めて十分に機能する存在です。
 
言語的、文化的適応能力が非常に優れており、またそれを磨く経済的環境も整っているごく少数の者であれば、国境を超えて移動し、移動先の人々と互角に競争できる力を身につけることができるのかもしれません。
 
ですが圧倒的多数の人々は、そのような言語的・文化的適応力を持っていませんし、経済的環境にも恵まれていません。
 
また、ふつう、人は、いろいろな愛着や関わりをこれまで暮らしてきたところに持っているものです。たとえば、介護が必要な両親がいたり、住み慣れた土地に深い愛着を抱いていたりする場合がほとんどでしょう。そう簡単に別の国や地域に移動できるものでもありません。
 
ですので、大部分の日本人は、ある産業が日本国内で成立しなくなってしまったら、それに関連する職業に事実上、就けなくなってしまいます。つまり、人生の選択肢が失われてしまうのです。
 
結局、TPP加入後は、多様な人生の選択肢を享受できる日本人は、ごくごく少数の非常に恵まれた人々だけになるでしょう。
 
圧倒的大多数の日本人にとっては、いまよりも選択の自由がはるかに少ない、窮屈な世の中で生きていかなければならなくなってしまうでしょう。


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