世界遺産への登録が決まった「軍艦島」こと端島炭坑

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 政府・自民党が対韓国へ反撃に打って出る。世界文化遺産への登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」をめぐり、一部施設での朝鮮半島出身者の徴用について韓国側が「日本政府が違法な『強制労働』を認めた」などと事実無根の発信を続け、一部の欧米メディアがこれに沿った大誤報を流しているからだ。安倍晋三首相は「強制労働を意味しない」と明言。超党派の日韓・韓日議員連盟の合同総会でも激しい応酬があった。

 「日本政府は、韓国を信用しすぎました。『約束を守らない国』ということを忘れてはいけません」

 参院外務防衛委員長で、自民党の国際情報検討委員長代行も務める片山さつき参院議員はこう語った。

 自民党は10日朝、党本部で、内閣部会と外交部会、文部科学部会、国際情報検討委員会の合同会議を開いた。6月下旬の日韓外相会談で、両国の世界遺産登録に協力することで一致していたにもかかわらず、韓国が土壇場になって「強制労働」という表現をゴリ押ししてきたことに、「約束が違う」「今後、韓国と付き合えるのか」などと強い不満が出たという。

 加えて、日本政府が世界遺産委員会で語った「forced to work(働かされた)」の意味が、韓国側の喧伝もあって、「強制労働(forced labor)」を認めたような誤解が広がっていることへの怒りや懸念が噴出した。

 「軍艦島」の通称で知られる端島炭坑(長崎市)については、一部の海外メディアが「奴隷島が世界遺産に」「強制労働の島が登録」などと取り上げているという。

 片山氏は「『奴隷』と書いたある英国紙には『事実がまったく違う』と申し入れて、訂正してもらいましたが、他紙では『強制労働』という表現は残っています。ドイツなどの新聞も調べて、総合的な巻き返し策を講ずるべきです」と語った。

 そもそも、戦時下での労働力不足を補う「徴用」は、米国や英国でも行われており、当然、給与も支払われていた。「強制労働」という事実はないが、韓国では「強制徴用された韓国人(=当時、韓国という国はない)は200万人」という妄言まで広まっている。

 合同会議では近く、朝鮮半島出身者に対して強制労働が行われなかったことを改めて確認することを決議するというが、それ以外に、どんな反撃方法があるのか。

 片山氏は「まずは政府に対して、国際社会に事実を説明するように求めていきます。同時に、自民党としても真実を世界に伝える努力をしなければなりません。私たちが背負っているものは大きいが、子孫のためにこの重荷が少しでも軽くなるようにしていきたい。国際情報戦略などを展開していきます」と語っている。 (ジャーナリスト・安積明子)