NHK子会社の剰余金948億円…改善図られず

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 NHKの子会社13社の利益剰余金が2015年度末で計948億円に上ることが、会計検査院の調べでわかった。

 検査院は05年度末時点の調査でも、子会社の剰余金が計759億円に上ると指摘していた。この時の調査では、子会社の経営が健全なことから、NHK本体の財政面にも貢献するよう求めたほか、子会社の剰余金が過剰にならないようNHKに改善を要請していた。今回の調査では、10年たっても同様の体質に改善が図られていない実態が浮き彫りになった。

 検査院は、NHKの子会社13社、関連会社4社、公益法人など9団体の計26団体を調査。子会社の剰余金は年々増え、15年度末には計948億円に上った。関連会社は計150億円、公益法人などで剰余金に相当する分は計153億円。これらを合わせると約1250億円に達した。

 NHKの15年度の収入は約7002億円で、受信料が約6739億円を占めた。

 これに対し、子会社の配当は計約72億円で、うちNHKが受け取ったのは約51億円だった。05年度も子会社の剰余金計759億円に対し、配当は約49億円にとどまっていた。

 また検査院は、15年度にNHKが関連団体と交わした契約額の92・7%は随意契約だったと指摘。03~05年度分を調査した時も、3000万円以上の契約のうち97%以上が随意契約だったとして、関連団体に過剰な利益を与えないよう求めていたが、こちらもほとんど改善は見られなかった。

 検査院はNHKに対し、子会社の剰余金について「適切な規模を検証し、配当を要請するなど指導・監督を適切に実施すること」と求め、契約方法も「競争性のある契約への移行を進めるべきだ」としている。

 NHK広報局は、読売新聞の取材に「剰余金は現金や預金だけでなく、中継車や入居ビルなどの資産などの形で保有されている。事業維持に不可欠な資産を除き、(子会社は)可能な部分で配当を積極的に行っている。随意契約が多いのは、競争入札になじまない番組制作の委託が多いため」と回答した。